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第4回 東三河サイエンスカフェ 記録
2007年11月15日 開催

第4回カフェ風景1第4回カフェ風景2第4回カフェ風景3

数の不思議発見
−フィボナッチ数と黄金比の謎−
荻野 堅資 先生

第4回レポート用カフェ風景1 red.ball 司会挨拶

 司会より、非常時の対応等諸注意、本カフェのすすめ方説明、 ゲストスピーカーの紹介を行ないました。 【18:30開始】

red.ball 基調スピーチ

 荻野先生は、パワーポイントを使用しながら、 参加者各自が電卓を用いて行なう実習を組合せ、 25分ほどのお話しをしてくださいました。 以下は、同スピーチの内容をまとめたものです。 スライド資料(図表等)は、先生よりご提供いただいたものです。 これらスライドの著作権は、荻野先生にあります。 当日のスライド資料は、このほかにもたくさんありましたが、 その一部のみ掲載しております。 なお、著作権の関係で、一部スライドの内容を変更して掲載しています。

red.ball

slide no.001  挨拶。

 数学の不思議さ、美しさをお話ししたいと思います。 案内にも書かせていただきましたが、電卓と定規はお持ちでしょうか。 お持ちでない方は、事務局の方で用意していただいておりますので、 おっしゃってください。

slide no.002  この絵の人がレオナルド・フィボナッチという人です。 フィボナッチ数とは、この人が見つけた、ある規則に従って並んでいる数です。 1、1、2、3、5、となってます。 お手元にも資料をお配りしてあります。 さて、この空欄にはどういう数がはいるでしょうか、考えてください。 ……。 どうですか。

 では、そちらの方。 「8と34、ですか?」 はい、そうです。 8と34です。 どんな規則で並んでいるかというと、前のふたつの数を加えると、 次の数が求まる、というものです。

slide no.003  このフィボナッチ数に関係したパズルを紹介しましょう。 不思議の国のアリスで有名な、ルイス・キャロルのパズル、 というものです。 あるいは、サム・ロイドが見つけたとも言われています。 お手元の資料にもあります。 2ページ目です。 左側の四角形は、8マス×8マスで、面積64ですね。 右側の四角形は、左の四角形を線のとおりに切って、 並べ替えたものです。 こちらは、13×5で面積65になります。 あれ、並び替えただけなのに、面積が1マス分、増えてますね。 おかしいですね。 切って並べ替えただけですよ。 不思議ですね。 答えは、……、今は言いません。 そこで、このマス目の数に注目すると、 3、5、8、13、どれもみな、さきほど見たフィボナッチ数ですね。

第4回レポート用カフェ風景2  次は、まつぼっくりの話しをします。 わたしの勤務校である成章高校には、 ダイオウショウという大きな木があります。 田原市の巨木・名木百選にも選ばれています。 樹齢90年ぐらいです。 このまつぼっくりを持ってきました。

 これです。 こんなに大きなものです。 成章高校には、このまつぼっくりを拾えたら、 夢がかなう、という伝説があります。

slide no.005  このまつぼっくりにもフィボナッチ数が隠れています。 さて、どこに隠れているのでしょうか。 ……。 このまつぼっくりの、なんて言うんでしょうか、 この渦状になっているのが、ちょうど8つ、フィボナッチ数になっています。

 今度は、ひまわりです。 これにもフィボナッチ数が隠れています。

 さきほどのまつぼっくりの渦と同じように、 種ができるところが渦になっていて、数えると、21、 これもフィボナッチ数ですね。

 渦を反対向きに見て数えても、34、フィボナッチ数ですね。 花は、フィボナッチ数なんか考えながら、種を作っているのでしょうか。

slide no.009  それでは、この不思議なフィボナッチ数に隠された、 秘密を考えてみたいと思います。 ここで、みなさんには、電卓を使って、 ちょっと計算をしていただこうと思います。 この図にありますように、 フィボナッチ数からふたつの数字をとってきまして、 後ろの数字を前の数字で割ります。 例えば、1÷1=1、2÷1=2、3÷2=1.5、という具合です。 ずっとやっていくと、55÷34=1.617、となります。 これより後のところ、お配りした資料でも空欄になっていますので、 電卓で計算してみてください。 ……。 空欄を計算していくと、何か気づきませんか。 どれもみな、1.618になってますね。

 このフィボナッチ数に隠れている1.618という数は、 いったい何なのでしょうか。 ちょっと不思議な感じがしてきませんか。

slide no.011  ここでちょっと違う話しをします。 今、画面にでているふたつの長方形、どちらが美しいと感じますか。 Aの方が美しいと思われる方、……、はい、そうですか。 Bの方という方、……、Aの方が若干多いですね。 たねあかしは、後でします。

 今度は、みなさんよくご存じのピラミッドですね。 このピラミッドにも、ある数字が隠されています。 それでは、また電卓で計算してみてください。 この図にある、 この直角三角形の(斜辺)÷(底辺)を計算してください。 ……。 いくらになりましたか。 そう、1.618になるんですね。 先ほどの、フィボナッチ数に隠れていたのと同じ数ですね。

 次は、ギリシャです。 神々を祭るパルテノン神殿ですね。

 現在の様子はこの写真のようなんですが、 戦争や長年の風雨で、いくらか欠けていたりしますが、 もともとは、この絵のような形をしていたんだろうと考えられています。 このパルテノン神殿の長方形の縦・横の割合を求めてください。 配付資料に同じ絵がありますので、縦・横を定規ではかって、 電卓で計算してみてください。 ……。 測り方によって、若干の違いはでるかもしれませんが、 わたしの測ったところでは、15.45÷9.6で、1.609になりました。 ぴったり1.618ではありませんが、近い数ですね。

 お手元の資料を、1枚すすめてください。 今度はミロのヴィーナスです。 おへそから頭までと、おへそから肩までの長さの割り算、 足下から頭までと、足下からおへそまでの長さの割り算、 定規で測って、電卓で計算してみてください。 ……。 そうすると、このように、1.603と1.633になりました。 これも、ぴったり1.618ではありませんが、近い数になっています。

 ピラミッドにも、パルテノン神殿にも、 ミロのヴィーナスにも、1.618やそれに近い数がでてきています。 時代を超えて、場所を越えて、我々人類がつくってきたもの、 美しいと感じるものには、1.618という数が隠れているんですね。

slide no.017  そこで、いよいよ、 この1.618という数の秘密に迫っていきたいと思います。 先ほど、ふたつの長方形、AとBと、どちらが美しいと思いますか、 という質問をしました。 実は、あのAの方、少し横長だった方ですが、 あの長方形は、黄金長方形といいます。 この長方形は、ある性質をもっています。 それは、この図のように、この長方形から、この正方形を切り取りますと、 残ったこの長方形が、もとの長方形と同じ形、大きさは違いますが、 形は同じ、という性質をもっています。 数学的には、こういうのを、相似、といいます。

 この相似だ、という性質を使って、少し計算してみますと、 長方形の縦横の比率が、1.618になるんですね。 この黄金長方形は、一番美しい長方形と言われています。 数学の世界で、美術の世界で、最も美しい長方形と言われています。 そして、この1.618は、黄金比と呼ばれます。 今日のお話しの最初にやりましたフィボナッチ数ですが、 フィボナッチ数には、この黄金比が隠されていたわけです。

slide no.018  黄金比をさがしましょう!、ということで、 配付資料にもこの星形がありますが、ちょっと時間がなくなってきましたので、 これは宿題としましょう。 この星形のなかにも、黄金比が隠れています。 定規ではかって、電卓で計算して、見つけてみてください。

 フィボナッチ協会というのがあります。 そのマークは、今の星形をつかった、こういうマークです。 星形の内側にも、小さな相似形の星形がありますね。

slide no.020  さらに、日本ではどうかな、と思ったのですが、 先日、わたし京都に行ったのですが、この写真は晴明神社です。 阿倍晴明ですね。 以前、陰陽師という映画がありましたが、あの阿倍晴明を祀っている神社です。 二条城の少し北の方にあります。 思っていたより小さな神社でした。 この神社の紋所ですが、ここにも写っていますが、晴明桔梗紋といいます。 これがさきほどの星形ですね。 桔梗からとった紋所のようですが、 こちらの写真は、その神社に咲いていた桔梗です。 たしかに、五弁のきれいな花ですね。

 このように、西洋において、そして日本においても、 この黄金比というのは、不思議な力をもった数として、存在していたようです。 ご静聴ありがとうございました。

red.ball コーヒーブレイク

 ここで、参加者全員に飲み物とお菓子のサービスをしました。 このサービス時間に、ダイオウショウのまつぼっくりを回覧しました。

red.ball 語らい

 基調スピーチをうけて、 50分ほど、参加者一同の語らい(議論)の時間をもちました。 以下は、語らいで出された意見などをまとめたものです。

red.ball

 黄金比や黄金分割ということばは以前から聞き知っていましたが、 今日のお話しのように、自然界にもそうしたものがあるということで、 数学、数字が先なのか、自然、人間の感性が先なのか、そのあたりが不思議です。

 建築の勉強をしていたときに、デザインなどで黄金比がでてきました。 今日のお話しをうかがって、数学の、計算されたものであった、 ということを知って、前回の話しにもあった、 数学の、美しい、というのをあらためて感じました。

 宇宙の星雲の渦というのは、まつぼっくりの渦と同じように、 このフィボナッチ数ですか。

 はい、そうです。 後ほど、時間があれば、ご紹介しましょう。

 先ほどのふたつの長方形、左のAの方は、1対1.618ということでしたが、 右のBの方は、どういうものでしょうか。 あのふたつの長方形は、なんとなく、テレビの画面の形、 以前のものといわゆるワイド画面とに見えたのですが。

 ワイド画面は、16:9ですから、1.777ですね。

 この使用しているプロジェクターの癖で、 むかって右の方が色味が少し悪いんですね。 それで、美しいですか、という質問では、 右側にある長方形、Bの方が、若干不利だったと思います。

第4回レポート用カフェ風景3  黄金比の黄金という言葉が気になります。 実は、以前、北海道の黄金道路という名前の道路に行ってみたのですが、 すごく古くて整備されていない道路であったり、 サンフランシスコの金門橋も、黄金どころか、さび止めの赤茶色であったりと、 黄金という言葉に、あまりよい思い出がないのですが、 黄金比の黄金というのはどこからきた言葉なのでしょうか。

 美しくしようとして黄金比になる、というお話しがありましたが、 反対に、黄金比を使って美しくしよう、ということはしないのでしょうか。 例えば、この紙の縦横の比率というのはどうなんでしょう。

 その紙、それはA4用紙ですが、A4やB5といった用紙は、 ふたつの長方形でいうと、右側、Bの方の比率です。

 機械の設計などをしていると、当然、さまざまな効率、 効率的な大きさや形状を考えるわけですが、 そうしたところでも、 こうした形としての美しさのようなものも関係してくるのかなと思いました。

 先ほどは、フィボナッチ数の後ろの数を前の数で割りましたが、 反対に前の数を後ろの数で割ったり、それぞれ2乗をしていったりすると、 またおもしろい結果がでてきて、とても興味深いものですね。

 建築関係の仕事をしているのですが、居心地のよい空間というのがあります。 そうした居心地のよさというのが、間口と奥行きの比率などが、 この黄金比と関係しているのかなと思います。

 右側、Bの方の長方形は、白銀比というものだと思いますが、 日本では昔からよく使われている長方形のようですね。

 アートを理解するにはサイエンスが必要なのかなと思っています。 コンテンポラリー・アートなどを見ていると、特に強くそう思います。 前回のオイラーの公式でも、とにかくその美しさを感じとろう、 というお話しだったと思います。

 ちょっと計算してみたんですが、1、1、からではなく、2、2、から始めても、 3、3、から始めても、1.618になるんですね。

 フィボナッチ数の割り算ですが、大きなところまで計算していくと、 1.617、1.618あたりで振動するのですが、 これはなんらかの値に収束するのですか。

 はい、(1+√5)/2=1.618…という値に収束します。

 数の不思議さ自体もおもしろいのですが、 生物のメカニズムや、自然界に由来する部分により興味がわいてきました。

 フィボナッチ協会なる組織にすごく興味があります。 いったいどういう人たちが活動しているのでしょうか。

 その積み木のようなのは何ですか。

第4回レポート用カフェ風景4  スイス naef 社のつくっている積み木です。 一辺10センチの立方体になるんですが、こまかく切り分けられています。 1970年頃にピエール・クラーセンという人が考え出した形状で、 それまでの積み木とはちがって、ななめに並べたり、 少しずつずらして、おもしろい形をつくったり、ということが楽しめます。

 この積み木にも、黄金比を用いたものがあります。 1:1.618の大きさに切り分けたり、黄金長方形の形になっていたりします。 おもちゃとしては少し高額ではありますが…。

 こだわるようですが、なぜ、黄金、という名称が用いられているのでしょうか。 黄金比というと、ダ・ヴィンチの人体図を思い出すのですが。

slide no.021  それでは、黄金比のお話しをもう少し、スライドを使ってしましょう。 まず、これはミツバチの系図なんですが、ミツバチの雌雄の数を調べると、 必ず、オス1に対して、メス1.618の割合になります。 これは、ここにありますように、働きバチの未受精卵が雄バチになりますので、 雄バチには、母親しかおらず父親がいないのです。 一方、女王バチの産んだ卵が雄バチによって受精すると、雌バチとして育ちます。 その雌バチは、女王バチか働きバチになります。 いずれにせよ、雌バチには、両親がいます。 これを系図にすると、この図のようになります。 すると、各代の数は、1、1、2、3、5、…、とフィボナッチ数になります。 また、各代の雄バチ、雌バチのそれぞれの数も、フィボナッチ数になります。 どこのミツバチを調べても、こういう数になります。 背景には、こういうメカニズムがあるわけです。

slide no.022  今度は、先ほどご質問のあった、渦のお話しです。 この図のように、ちょうど黄金長方形になっていまして、 そこに円を描いてつないでいったのを、ベルヌーイのらせん、といいます。 対数らせん、とか、等角らせん、といったりもします。

 例えば、オウムガイであるとか、羊の角、銀河、星雲ですね、台風、 こういったものは、すべてベルヌーイのらせんの形になっています。

 こういう形になるメカニズムですが、 黄金長方形は、相似、自己相似形である、といいましたが、 例えば、オウムガイは、成長するにつれ、同じ形で大きくなっていくわけで、 その結果、ベルヌーイのらせんの形で成長していくわけですね。 星雲も同じように考えればよいですね。

 これは、ハヤブサの飛行コース、ハヤブサの飛び方を図にしたものです。 ハヤブサは最も速く飛ぶ鳥の一種ですが、 その最高速がでるとき、急降下していくときですが、 ハヤブサは、自分の顔を40度ほど傾けないと、 獲物を視界に捉えられないものですから、その傾きを維持しながら、 獲物にむかって飛んでいくには、 このベルヌーイのらせんの形で飛ぶことになります。 ちょうど、角度が一定になるんですね。 それで、先ほどいいましたように、等角らせん、といったりします。

 こちらは、ダ・ヴィンチの人体図です。 さきほどのヴィーナス像と同じように、各部を計測すると、黄金比が見られます。 実は、ダ・ヴィンチは、レオナルド・ダ・ヴィンチですね。 そして、フィボナッチも、レオナルド・フィボナッチなんですね。 ふたりの名前が、どちらもレオナルドというのは、おもしろい偶然です。

slide no.028  参考文献です。 今回、お話しをさせていただくのに、わたし自身も、 あらためて本を読みなおしたりしましたが、 このうちでは、この「ジオメトリック・アート」という本が、 アートに関わる本でおもしろかったですね。

 白銀比というのは、1:1.414、1対√2という比率のことですね。 ちょうど、このA4用紙の縦横の比率が1:1.414です。 この用紙をちょうど半分に折ったときに、もとの長方形と同じ形、縦横の比率が、 また1:1.414になる、というものです。 法隆寺など日本の古い建築物に、白銀比がよく見られます。 そのあたり、日本と西洋で美しさの感覚がちがうのかもしれません。

 数字が先か、自然が先か、ということでは、やはり自然が先でしょうね。 自然界で黄金比になるメカニズムですが、 例えば、植物の葉っぱを考えると、葉っぱを次々とだしていくのに、 角度をうまくずらしていかないと、同じ位置に葉っぱが重なることになって、 太陽光を受けられませんね。 そこで、360度を、1.618に1を加えた2.618で割った、 137.5度でずらしていくと、 うまくずれていって、たくさんの光が得られるようになる、 というようなメカニズムがあるようです。

 黄金比という名前ですが、もともと、 Golden Section という英語があって、 それを黄金とそのまま訳してしまったんでしょうね。 白銀比は、その黄金比に対してつけられたんだろうと思います。

 フィボナッチ数の連続2数の割り算が、2から始めても、3から始めても、 同じ1.618になる、というのは、すごいと感じました。 何がすごいかというと、そういう計算をしてみる、試してみる、 というところがすごいですね。 数学的にいえば、割り算するのに、除数、被除数の両方を2倍、 あるいは、3倍しているのだから、商が同じ値になるのは、 あたりまえではありますが、そういうところに興味をもって、 やってみる、というのはすごいと思いますね。 そうした興味は、おそらく、先回のカフェにもでてきた、 数学の美しさにつながる感性ではないかと思います。

 ピタゴラス教団のシンボルマークにも、5角形が用いられています。

 ハヤブサの話しは、飛んで火に入る夏の虫にも成り立つ話しのようですね。

 葉っぱのお話しで、なぜ、1.618で割ったものになるのが多いのか、 ほかでも可能性はあるわけで、そのあたりが興味ありますね。

 美しさに理由をもとめると、日欧の感性の違いがあって、 比率もちがってくるのかな、とも思います。

 最初のルイス・キャロルのパズルの正解を教えてください。

 うーん、ヒントだけにしましょう。 実際に、この図にそって切って重ねてみてください。

red.ball 司会挨拶

 司会より、アンケート記入の依頼、同回収、閉会の挨拶を行ないました。 【19:58終了】

red.ball 付録

 本カフェででてきた naef 社のWWWページへのリンクをあげておきます。

Naef Spiele AG(Naef Spiele AG - Spielkultur)

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Last updated January 7, 2008
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